Volkl POWERBRIDGE10 インプレ!
ボリス・ベッカーがオーナーの会社、VOLKL。
今でこそオーナーはベッカーだが、
非常に長い歴史を持つメーカーである。
また、独自のコンセプトを持つモノづくりも特徴的で、
一風変わった形状のラケットを多く輩出してきた。
昨年、Boris・Beckerシリーズがリリースされ、ラインナップの幅が広がった。
パワー・アームなどに代表されるお家芸の独特のテクノロジー
が搭載されたシリーズだけでなく、非常にオーソドクスなラインも
しっかり揃っているというのが、最近のイメージだ。
さて、今回試打したのはこれ。
POWERBRDIGE10
■フェイスサイズ 98平方インチ
■ラケット長 27インチ
■バランスポイント 310mm
■ウエイト 325g
■グリップサイズ 2・3
■適正テンション 50-60P
ウエイトからも想像つくとおり、簡単なラケットではないと思われる。
フェイス形状もいたって普通。
ストリングパターンは18×20とハードさを予感させる。
このVOLKL、あまり市場シェアは高くないようだが、
非常に良いラケットをつくっている。
一部の奇抜な形状が印象的ではあるが、
実は非常に質実剛健なラケットが多い。
このモデルのような、普通の形状のツアー系モデルにこそ、
VOLKLの技術力が注入されているんじゃないかと思うのだ。
全体にはオーソドクスなモデルではあるが、
最新テクノロジーもしっかり搭載されている。
パワーブリッヂ
ブリッヂ部の素材構成を密にし、安定を高めているらしい。
DNX
非常に硬度の高いカーボンにより、エネルギーロスを最小限にしている。
さて、打ってみた。
正直、硬い。
まあ、実際そういうモデルなので、それが違和感にはならない。
硬いというよりは、剛性を感じるというほうが正しいかもしれない。
当てただけで飛んでいくことは無いが、しっかりコントロールした
フェイスを打球が裏切ることはない。
つまり、ラケット自体のパワーで飛ぶ感じではないが、
スイングのパワーロスをあまり感じないということ。
やはり、スイングできる人向けではあるのだ。
似た感じだと、ダンロップのアエロジェル4D 300TOURかな。
ウエイトは結構あるのだが、重くは無い。
バランスのせいか、持ち重り感はまったく無い。
むしろ、ツアー系モデルでは軽めに感じるだろう。
そのためか、ヘッドの効きが良い。
ラケットの重みでヘッドが回るというよりは、
自分の意思でヘッドの効き具合を調整出来る感じ。
サービスの振りぬきでは、よりそれを感じられる。
鋭いスピン系のサービスなんかには非常に心強い。
ただ、ぶっ飛び系ではないので、スピンの失速には注意。
いつもより少しだけネットの上を通すイメージが良いかも。
ネットでの取り回しは素晴らしい。
急な逆モーションにも対応できるし、かなり後ろからの
オーバーヘッドでも十分にコントロールが可能。
ベッカーのネットプレーの味付けなのだろうか?
ストロークも鋭く振りぬいて、切れの良いスピンで
スピードボールを打つようなイメージが良いかもしれない。
ワタクシの技術の問題もあるのだろうが、
フラット系のボールでのコントロールは難しかった。
「それは腕のせいだ!」(周囲の声)
とにかく、普通に良いラケットである。
なにが素晴らしいって、「普通に良い」ということ。
セールスを考えると、どうしても形状的にもフィーリング的にも
新機能を目立つように入れたくなるが、さりげなく
しかし、しっかり味を出しているところにメーカーとしての
真摯さが感じられるのだ。
このあたり、やはりVOLKLの面目躍如というところか。
ネットにも出て勝負したいオールラウンダーや
ダブルスゲームの多い中級プレーヤーの方にお勧め。