軽トラ
しばらく前の話。
帰省した際、実家に車が一台増えていた。
ちなみに実家は農家ではない。
普通の住宅街にある普通の家だ。
そして、すでに車は2台ある。
人間2人に車が3台ってのもおかしな話だ。
「何すんの?これ」と聞いたら、「薪を運ぶんだよ」だと。
実家のリビングには薪ストーブがある。
その燃料の薪を運ぶために買ったらしい。
(軽トラの後ろに写っているのが大量の薪だ)
聞けば、あちこちの知り合いの農家などから
「木、切ったけど、持っていく?」と連絡があるらしい。
それをもらいに行くためのものだとか。
そのために、薪割り機まで買ったとか。
すでにある車の1台はミニバンタイプだから、
それで運べば良かろうと思うのだが、
やはり軽トラのほうが気遣い無く運べるのだろう。
しかしそのためだけにとは、何とももったいない。
「中古車みたいだけど、いくらで買ったの?」と聞くと、
なんと3万円だそうだ。
ある時、ゴルフ場に向かって田舎道を走っていたら、
農家の軒先に、この軽トラが置いてあって、
フロントに「3万円」と書いた紙が貼ってあった。
見間違いかと思って車を降りて見ると、
本当に3万円と書いてある。
家の人に聞くと、先日、ご主人が亡くなられて、
もう乗る人がいなくなったので処分するとのこと。
3万円という値段は、ちょっと前にマフラーか何かを
修理した代金分だそうだ。
いつもは自分の車を運転して行くゴルフ場だが、
たまたまその日だけは、友人の車だった。
これも何かの縁だということで、
「帰りにまた寄るから」と購入即決。
軽トラを運転して帰って来た。
曰く、「これも出会いだから」。
ウ~ン、そういうものなのか。
そういえば学生時代、軽トラ1台で引越ししたことがあった。
(今思えば、荷物少なかったんだなぁ)
友達がどっかから借りてきてくれた軽トラだったが、
足元がス~ス~するんでフロアマットをめくったら、
床板が錆びていて、道路が丸見えでビビったっけ。
軽トラといえば、そんな思い出くらいしかない。
今度、帰ったら運転してみよう。