寒い話・・・の続き
そんなわけで、この世の人ではあったけど、
とにかく思い切り怖い思いをした。
そうはいっても、いい大人がいつまでも
ビクビクしてもいられないし、
もともとがO型気質なので一日経ったら
もう忘れかけていた。
次の日の夜、駅前で友人たちとしこたま飲んで、
締めにラーメンを食べて、ご機嫌で帰還。
時刻は深夜2時ごろ。
夜道をふらふらと歩いていた。
家も近づいた銭湯の角を曲がった途端、
何か白いものが目に前に現れた。
なんとそれは、かの白ワンピースの女性。
思わず、「うわぁぁ~!」と声をあげるワタクシ。
周りには誰もいない。
まさに一対一。
夜中、いきなり目の前に現れたそれに
一昨夜の恐怖が蘇った。
その女性、ワタクシに向かって、またか細い声で、
「あの・・・、今晩・・・」と。
とてもその先の台詞は聞きたくない。
とにかく逃げようと、
「この前は力になれなくてスミマセン、スミマセン!」
と言いながら、超ダッシュ。
パニックの頭で考えた。
家は知られているから、そのまま帰るのはダメ。
とにかく、隠れなきゃ。
適当に角を曲がったら、なんとそこは袋小路。
どこにも抜けられない。
仕方が無いので、勝手に人の家の庭に飛び込んで
植え込みの影に隠れた。
しばらくじっと息を殺していると、ジリジリと人の気配。
どうも、かの女性がこちらを探しながら
近づいてくるような気がする。
最終的には知らない人の家でも、大声を上げて助けを呼ぶか、
対決するしかないと腹を決めつつ、じっと隠れ続ける。
しばらくすると、あきらめたのか女性の気配が消えた。
それでも怖かったので、小一時間は隠れていた。
そして恐る恐る周りを見渡しながら、何とか家に帰り着いた。
もう完全に酔いは醒め、足はガクガク震えている。
あの女性がいったいどうしたかったのかは
分からないけれど、とにかく怖かった。
その後、会うことは無かったけれど、
彼女はどうしたんだろう。
何となく女性の怖さを見たような気がした、
恐怖の夏の夜でした。